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フォント フォントざっくり解説 初めての方へ
あの人名漢字を使うには、どのフォントが必要?
Unicode規格とOpenTypeフォントの登場により、WindowsでもMacでも、外字に頼る事なく使用できる人名漢字が以前よりも増えてきました。
ここでは、特に話題になるいくつかの人名漢字を例に、どのような商品を選べばその漢字を使えるようになるのかをご案内します。
同じOpenTypeフォントでもグレードにより収録有無は異なる
OpenTypeフォントの場合、その収録文字数の違いに応じて、以下のように複数の商品ラインナップが揃っていることがあります。
  • 比較的廉価な「Std・StdN」商品
  • より多くの文字を収録した「Pro・ProN」商品
  • さらに多くの文字を収録した「Pr5・Pr5N」「Pr6・Pr6N」商品
このうち最も一般的なものがStdグレードのフォントです。StdグレードのOpenTypeフォントは、従来からある一般的なTrueTypeフォントと同等またはそれを上回る「JIS第1水準漢字・第2水準漢字」「IBM拡張文字」をカバーするだけの漢字を収録しています。
そして、ProやPr5と呼ばれる商品では、カバーする漢字の範囲はさらに広がっています。
ここでは、特に話題になる人名漢字のみをピックアップし、簡単な表にまとめてみました。
(StdやProなどの各グレードの細かな内容やJIS規格との関係については、こちらの記事でご確認ください)
漢字の例 収録されているフォントの目安 文字を使える環境
「Microsoft標準文字セットに準拠 (※1)」または「IBM拡張文字を収録」と明記されたフォント 日本語を扱えるほぼ全ての環境
Std/StdN以上のOpenTypeフォント
※厳密にはAdobe-Japan1-2以上のフォント
Unicode対応アプリ
Std/StdN以上のOpenTypeフォント
※厳密にはAdobe-Japan1-0以上のフォント
Unicode対応アプリ
Pro/ProN以上のOpenTypeフォント (※2)
※厳密にはAdobe-Japan1-4以上のフォント
Unicode対応アプリ
Pro/ProN以上のOpenTypeフォント (※2)
※厳密にはAdobe-Japan1-4以上のフォント
(かつ、基本的にはIVS対応のもの)
IVS対応または独自の異体字切り替え機能のあるアプリ (※3)
ご注意
※1 この「準拠」とは「完全準拠」を指します。メーカーによっては「ほぼ同等」程度の意味で「準拠」としている可能性もありますので、厳密な仕様については各メーカーにお問い合わせください。
※2 雲涯フォント・タイポグラフィクス蓮の製品のように、現在一般的なフォントとは異なる意味でProと命名されたフォントもあります。厳密には「Adobe-Japan1-4以上」の規格に準じている必要があります。
※3 Adobe InDesign CS以降またはIllustrator CS以降ならば、独自の異体字切り替え機能により利用が可能、Office 2007以降+アドオンや一太郎 2014以降の場合はIVS対応フォントが必要です。
例えば、「森オウ外のオウ (區+鳥)」であればStd (またはStdN) と銘打った一般的なOpenTypeフォントを買えば大丈夫です。一方、「下のほうが長い吉 (土よし)」であれば、それよりも収録文字数の多いPro (ProN) 以上のフォントでなければ収録されていません。
このうち「聖の異体字」など表中の最下段の文字は、Unicode規格でも独立した文字コードを持っておらず、現時点でそれらを利用するには異体字切り替えの機能を持つ特別なアプリケーションソフトが必要です。また、フォント製品との組み合わせによって動作が異なる場合があるなど、まだ若干不安定な印象があります。
これらの漢字を確実に利用するためには、こちらの記事でご紹介しているIVSと呼ばれる仕組みが広く安定して普及するまで、しばらく待つ必要がありそうです。
フォント以外に必要なもの
上記の表に掲載した文字の多くは、Unicodeに対応したアプリケーションソフト上でのみ使用が可能となります。
最近の新しいアプリケーションソフトではほぼ問題ありませんが、一部のロングセラーの年賀状ソフトなどにはいまだにUnicodeやOpenTypeに未対応のアプリケーションも残っています。このようなアプリケーションソフトでは、せっかくOpenTypeフォントを入手しても目的の文字を利用することができないため、注意が必要です。心配な方はアプリケーションソフトのメーカーにも確認したほうが良いでしょう。
また、OpenType Proフォントなどを購入してインストールしたからといって、そこに収録されている漢字がいつもどおりのかな漢字変換で入力できるかというと、そうとは限りません。かな漢字変換でカバーされていない文字は、文字パレット・文字ビューア・IMEパッドなどと呼ばれる機能を使い、一覧から漢字を選び出す方法で初めて入力できるようになります。
StdともProともついていないフォントは?
OpenTypeフォントの中には、StdやProなどのグレード表記をもたない製品も存在します。
そういった製品の場合、従来のTrueTypeフォントで一般的だった「JIS第一水準・第二水準漢字」のみの収録ということが多く、ここで紹介したような漢字の多くを収録してないことが考えられます。
「どうしてもこの文字が必要」というような方は、商品名のほか、商品仕様に「Adobe-Japan1-3準拠」などの記述があるかどうかを確認するようにしてください。
特殊な人名漢字に強い“外字”フォント
人名漢字に限っていえば、Proフォントなどに比べ人名専門の外字フォントのほうがはるかに多くの異体字を備えているケースが多いです。
たとえば、渡辺の「辺」の異体字は、Proなど上位グレードのOpenTypeフォントでも22〜25文字程度の収録にとどまりますが、人名地名を集めた外字フォントでは60種以上収録されているものが一般的です。
OpenType Proフォント
人名に特化した外字フォント (一例)
さらに、外字フォントではUnicodeにさえ対応していればどのようなアプリケーションソフトでも使用可能ですが、Pro (Pr5なども同様) フォントでは前述のとおり、異体字切り替えに対応した環境 (IVS対応環境など) が必要となります。
もちろん、こちらの記事で紹介したように、外字フォントはあくまでそのメーカー独自のオリジナル規格ですので、互換性の維持には注意が必要です。それぞれのメリット・デメリットを理解の上でフォントをお選びください。
※人名用漢字の収録数だけで言えば、独立行政法人情報処理推進機構が開発を推進しているフリーフォント・IPAmj明朝フォントが最も充実したものになっています。ただしこのフォントは現在まだ開発途上な事に加え、収録文字をフル活用できるアプリケーションソフトが限られている事、書体の選択肢が多くない事など、使用するにはある程度の知識と環境が必要なものになっています。